遺言のはなし~7月10日開始!遺言書保管制度~

掲載日:2020.06.14

さて、自筆証書遺言の保管制度がいよいよ令和2年7月10日から始まります。

すでに制度が開始されることは決まっていたのですが、この度、手続の詳細などが発表されていましたので、ここで概要を解説したいと思います。

これまで、自筆で作成された遺言書は、作成した遺言者自身もしくは相続人等が保管してきましたが、せっかく作成した遺言を紛失してしまったり、保管者によって改変される、という危険性がありました。
そこで、そのようなリスクを避け、安全に保管するために遺言書保管制度が考えられたわけです。

【遺言書保管までの手続の流れ】
①(自筆で)遺言書作成⇒②法務局に遺言書保管の予約⇒③遺言書保管の申請⇒④保管証の発行
保管の申請は、遺言者の住所地、遺言者の本籍地または遺言に記載された不動産の所在地、いずれかを管轄する法務局に「遺言者自身」がする必要があります。
手数料は遺言書1通あたり3,900円(収入印紙)です。

【相続発生後の手続の流れ】
①相続発生⇒②戸籍謄本等の収集⇒②相続人等から遺言書情報証明書の交付請求⇒④相続手続
「遺言書情報証明書」が遺言の代わりになりますので、相続人等はこれを使って相続手続を行うことができます。
証明書発行手数料は1通1,400円(収入印紙)です。

また、今回最も重要とも言えるのが、「法務局で保管された遺言は検認が不要になる」ということです。
これまで、自筆証書遺言を相続手続で利用するためには、相続人等が家庭裁判所に遺言を確認してもらう手続(検認)が必要でしたが、法務局で保管された自筆証書遺言については、この検認の手続を省略することができます。
検認の手続は相続人等の負担になるため、この負担をさせたくない、という理由から公正証書遺言を作成する方が少なくありませんでしたが、今後は遺言書の保管をすることでも同じように相続人の負担を軽減することができますね。
作成手数料は公正証書が1万6,000円~なので、費用的には遺言書の保管制度の方が抑えられることになります。

ただし、気を付けたいのは、法務局で遺言書の内容をチェックをしてくれるわけではないので、記載内容が法的に無効である可能性が否定できない点です。
公正証書の場合は、公証人が内容を確認した上で作成していますので、そのような恐れはほぼありません。
そのため、結局のところ、公正証書遺言と比べて遺言書の保管制度が優れているかというと、単純に比較できるものではなく、あくまで「遺言書作成時の選択肢が増えた」という認識の方がよろしいかと思います。
※遺言書保管制度について詳しくはこちらから

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ