家の名義変更のはなし~遺留分減殺請求があった場合の手続~

掲載日:2019.03.29

遺留分権利者が、相続で不動産を取得した相続人(受遺者)に対して、遺留分減殺請求をすると、遺留分減殺請求の対象となった不動産の所有権(持分)は原則遺留分権利者のものとなります。
※遺留分減殺請求について詳しくは「こちら」。

この場合、不動産の名義変更が必要になりますが、遺留分減殺請求をした時点で、相続(遺贈)による登記がされているか否かで少し手続が異なります。

(1)相続(遺贈)による登記がされていない場合
こちらは、不動産がまだ被相続人の名義のままという場合です。
この場合は、遺留分減殺請求権者は、相続を原因として直接自己名義の所有権移転登記を行うことができます。
相続による登記なので、登記手続は権利者が単独で申請することができますが、通常とは添付書面が異なりますので注意が必要です。

(2)相続(遺贈)による登記がされている場合
一方こちらは、すでに不動産が相続人(受遺者)名義に変わっている場合です。
この場合は、遺留分減殺を原因として、相続人(受遺者)から遺留分権利者への所有権移転登記を行うことになります。
権利者と義務者の共同申請になりますので、相続というより、売買や贈与の際の登記手続と共通することが多いでしょう。

どちらの手続を執るかはケースバイケースですが、実体を正確に反映させるという登記制度の理念に鑑みると、一度相続人(受遺者)に名義変更を行ってから、遺留分減殺によって移転させる方が好ましいように思います。
※直接遺留分権利者の名義で相続登記を行うと、遺留分減殺したという事実が登記記録に残らない。

いずれの場合も、登記手続には財産を受け取った相続人(受遺者)の協力が必要になりますので、注意しましょう。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ