遺言のはなし~不動産を住所で特定するのは間違い?~

掲載日:2019.01.10

遺言は、公正証書もしくは自筆で作成することが一般的ですが、自筆で作成しようというときには、不動産の記載について注意すべき点があります。

自筆の遺言(自筆証書遺言)で不動産を相続させようという場合に、例えば「札幌市北区新川〇条〇丁目1番1号(住所)の土地建物を長女である花子に相続させる」と記載したとします。※住所の記載は正確であるものとします。
一見何も問題はないように思えますよね。しかし、実はここに落とし穴があります!

まず、前提として、遺言によって不動産を相続した場合も、相続人は不動産の相続手続(登記手続)が必要です。
そして、登記手続において、土地建物はそれぞれ「地番・家屋番号」というもので特定されます。ここが問題です。
なぜなら、住所と地番・家屋番号は原則として関連性がない(違う番号が付いている)ので、住所だけわかっても、地番・家屋番号が不明であれば不動産を特定することができないからです。
不動産が特定できなければ登記手続を行うことができません。つまり、せっかく遺言があってもそれに従って相続することができなくなってしまいます。・・・大変ですね。
※住所と地番の関係についてはこちらに詳しく記載していますので、よろしければご覧ください。

このようなことがないように、自筆の遺言を作成する場合、不動産については住所で特定するのではなく、登記事項証明書(登記簿)に記載されている「地番・家屋番号」を記載するようにしましょう!

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ