成年後見のはなし~委任契約と何が違う?~

掲載日:2018.09.26


成年後見人はご本人の「法定代理人」であり、ご本人に代わって各種法律行為を行うことができます。
法定代理人とは、法律で定められた代理人という意味で、成年後見人については民法に規定があります。
一方で「任意代理人」というものも存在します。これは、皆さんも日常で関わっているかと思いますが、「委任状」などによってご本人の代わりに法律行為を行う人のことを言います。
契約による代理であっても、ご本人の代わりに法律行為を行えるという点は同じです。

では、そもそも任意代理契約によって代理人を定めておけば、成年後見人(法定代理人)は不要ではないのか?という疑問が出てきます。
実際、そのような議論は専門家の間でも存在します。

確かに、任意代理人であっても、ご本人が必要としていることについてある程度対応することができるかと思います。
問題は、すでにご本人の判断能力が低下してしまっている場合や、銀行手続などにおいて厳格な本人確認が求められる場合です。
ご本人の判断能力が不十分である場合、そもそも委任契約を締結するだけの能力がなければ、任意代理契約自体が無効ということになります。
また、任意代理契約では、権限を証明するのはご本人と代理人との契約書ということになるので、対外的に権限を認められにくい、という問題もあります。
後見人について、登記事項証明書という権限証明書が発行されることと比較すると、信用度が低いのは仕方がないことかもしれません。

任意代理自体を否定するわけではありませんが、任意代理契約と成年後見制度の違いを理解した上で、どちらを利用するか慎重に判断していただければと思います。

※今回は、成年後見制度のうち、後見について記載した記事となります。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ