マニアック法律知識~権利能力とは?~

掲載日:2018.01.22

権利能力とは、簡潔に言うと、権利義務の主体となる能力、ということになります。
権利義務の主体となる、と言われてもピンと来ないかもしれませんが、例えば、契約においては、当事者が権利義務の主体となるので、権利能力がない者は働くこともできなければ日用品を購入することすらできません。
普段は意識せずに生活をしているかもしれませんが、実は権利能力は現代社会においては欠かすことのできないものとして存在しているのです。

なお、日本においては、自然人と法人のみが権利能力を有するとされています。
自然人とは人のことであり、人は生まれると同時に権利能力がある、ということになります(民法第3条)。
一方、法人の代表的なものである株式会社は、設立登記によって法人格を取得するので、設立登記が完了した時に権利能力を得ます(会社法第49条など)。

普段の生活ではあまり意識しないこの権利能力ですが、法律トラブルに発展した場合を考えるとその重要性がわかるのではないかと思います。
例えば、成人式の騒動で話題になった会社を例に見てみましょう。
あの騒動が起きてから、返金を求める方が多数おられたようですが、誰に返金してくれと求めているのでしょう?
「当然、相手の会社でしょう」と思いますよね。
では、仮にその会社が設立登記をしていなかったとしたらどうなるでしょう。
株式会社は設立登記によって権利能力を得る(上記参照)ので、そもそも契約の当事者となる能力がなかったということになります。
皆さん、お買い物をする際に会社の登記簿を確認しますか?しませんよね。
そのため、このようなことが起きないとは言い切れません。
権利能力がないわけですから、会社(と称する団体)には返金を求めることはできません。こうなると、誰が契約の当事者なのか、という点から確認しなければならないので、大混乱です。
このように、権利能力とは、「誰が」「誰に」どのような権利義務を有しているのかを特定し、場合によっては契約の有効無効にも関わる重要な役割を果たしているものなのです。

普段の生活の中でも、契約の当事者は誰なのか?権利義務の主体になるのは誰なのか?ということを考えてみると面白いかもしれませんね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ