相続のはなし~土地を国に引き取ってもらえる?(相続土地国庫帰属制度)~

掲載日:2023.07.29

相続登記が来年令和6年4月1日から義務化されることが話題になっていますが、関連してその他にもいくつかの法改正がされていることをご存知でしょうか。
今回は、その中でもよく質問をいただく、国による土地の引き取り制度(相続土地国庫帰属制度)について少し解説してみたいと思います。

いわゆる「原野商法」というものが流行したこともあり、特にバブル期(80年代後半から90年代初頭)に、値上がりを期待して郊外の土地を購入する、という方が少なくありませんでした。
バブル崩壊後、これらの土地が未利用のまま放置され、誰が所有者かもよくわからないような状態が発生しています。
実は、日本の法律では、所有権を放棄すること(所有者がいない状態にすること)ができないため、一度取得した土地は、誰かに引き取ってもらわなければ、永遠と相続されていくということになります。
相続放棄という制度がありますが、これは原則100:0の制度なので、未利用土地を放棄するためにはその他の財産も含めて一切の財産を放棄しなければいけなくなってしまいます。
これでは相続人に酷だということから、諸条件を満たした場合、「相続した土地」について、「一定の管理費を納付」することで、「国が引き取る」という制度(相続土地国庫帰属制度)が創設されたのです。
この制度を利用することで、相続人は、相続放棄することなく、不要な土地に関する責任から解放されることになります。

ただ、相続した土地に限られていることや、建物がある場合は引き取ってもらえないなど、条件が色々あるため、申込みさえすれば国が引き取ってくれるという簡単なものではありませんので、注意が必要です。
それでも、万が一の事故などで責任を負わなければいけない可能性があるということを考えれば、条件を満たした土地について引き取ってもらえるというのはありがたい話かもしれません。

法務省のサイトにも詳しい情報が載っていますので、興味がある方は一度ご覧いただけるとよろしいかと思います。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 巽 亮仁