家の名義変更のはなし~抵当権の抹消書類を紛失した場合【事前通知】~

掲載日:2019.07.20

抵当権(不動産の担保)を抹消する場合、通常、抵当権者の権利証(登記識別情報)が必要になります。

意外と知られていないようですが、不動産の所有者などと同様、抵当権の権利者にも権利証(登記識別情報)が交付されるのです。
そのため、銀行等の金融機関から借り入れをした場合、ローン完済後、権利証など抵当権抹消のために必要な書類一式が不動産の所有者に返還されます。
問題は、ローン完済後、すぐに抵当権の抹消手続を行わない所有者が少なくなく、いつの間にか権利証を紛失してしまっている場合です。

権利証は再発行されないものですので、紛失すると同じものは手に入りません。
では、永遠に抵当権が抹消できないのか?というと、さすがにそんなことはありません。
抵当権抹消に際して権利証がない場合、「事前通知」という方法があります。

事前通知による方法で抵当権抹消を行う場合、抵当権者には委任状に実印(法人の場合代表印)で押印していただき、抵当権者の印鑑証明書(発効後3か月以内)を添付します。
また、申請書類を法務局に提出したあとは、法務局から抵当権者宛に通知(事前通知)が届きますので、上記印鑑で押印していただき、この印影が委任状に押されたものと同一であれば、権利証がなくとも手続が行える、ということになります。
なお、この事前通知による方法は、売買などによる名義変更の場合にも使えますので、権利証を紛失してしまった場合はご相談いただければと思います。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ