遺言のはなし~相続後の財産について指定することはできない?~

掲載日:2018.11.22


遺言を作成する際、原則としてどなたに財産を遺すことも自由です。

ただ、気を付けたいのが、一旦相続が発生した後は、その後の財産の行方について遺言の効力は及ばないということです。

どういうことかと言うと、例えば「小太郎さん(長男)に実家を継いでもらいたい」という希望があったとします。
ただ、小太郎さんにお子さんがいらっしゃらない場合、小太郎さんが亡くなったあとの実家の行方が気になりますよね。
そこで、小太郎さん亡き後は、小次郎さんの子である孫太郎さん(孫)に実家を継いでもらいたい、という思いで、「実家は小太郎に相続させる。小太郎が亡くなった後は孫太郎に相続させる。」という遺言を作成したとしましょう。
ただ、こういった内容の遺言には効力がありません。

なぜかと言うと、一旦小太郎さんが相続をすると、それは「小太郎さんの財産」になるからです。
太郎さんが遺言で自由に処分することができるのは、自分の財産であって、一度子の財産になった後のことまで遺言で指定することはできません。

このことと混同しがちなものに、「遺言の予備的記載」というものがあります。
主に、受取人が遺言者より先に亡くなってしまった場合の遺言の記載方法です。
例えば、「自分が亡くなる前に小太郎が亡くなっていた場合、代わりに孫太郎に遺贈する。」という記載です。
これは、小太郎さんの代わりに孫太郎さんを受取人にしているのであって、小太郎さんの相続について指定しているわけではありませんので、問題ありません。
相続が発生した時点で誰の財産なのか、ということを考えていただけると分かりやすいかもしれません。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ