遺言のはなし~遺言の内容が実現できない?~

掲載日:2018.07.09

遺言が作成されていた場合でも、実際の相続手続ではその内容が実現できない場合があります。

例えば、遺言者太郎さんが、「A土地を小太郎さんに相続させる」という遺言を作成した後、A土地を売却してしまっている場合を考えてみましょう。
相続させるはずのA土地が存在していないので、この部分の遺言は実現することができません。
このように、遺言に記載した財産を処分するなど、遺言者が遺言の内容と矛盾する行為をした場合、その部分については遺言の撤回があったものとみなされます(民法第1023条第2項)。
ただし、遺言全体が撤回されたとみなされるわけではなく、あくまで遺言の内容と矛盾する部分だけであることには注意しましょう。

遺言は、遺言の形式に従っていつでも撤回することができますが、遺言の形式によらずとも、自ら財産を処分するなどの方法で事実上撤回ができるということになります。
遺言を作成しても、遺言者自身はその内容に縛られないということですね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ