相続のはなし~相続放棄後の財産の管理~

掲載日:2018.03.14


相続放棄をすると、その相続人は最初から相続人ではなかったことになります(民法第939条)。

この場合、相続人は、次の順位の相続人が財産をすることができるようになるまで相続財産を管理しなければならないという規定があります(民法第940条)。
相続放棄をした人は相続人ではなくなるので、相続放棄後は無関係と思ってしまうかもしれませんが、実は上記の規定があることから、相続財産については、相続放棄したあとであっても一定の管理義務があるのです。
この規定によると、次順位の相続人がいる場合、最初の相続人は次順位の相続人が相続財産を管理できるようになるまで財産を管理すればよい、ということになります。
問題は、相続人が全員相続放棄をして、相続人がいなくなってしまった場合です。

相続人が財産を管理できるようになるまで管理しなければならない、ということになると、相続人がいない状況では、最初に相続放棄をした人はいつまでも財産を管理し続けなければならない、ということになります。
この管理義務を免れるために、相続財産管理人に相続財産を引き継ぐという方法があるのですが、相続財産管理人を選任するためには、別途家庭裁判所に申立をする必要があり、そのための費用も掛かるので、容易ではありません。
相続財産に売却できる不動産などがある場合は、債権者が債権回収のために相続財産管理人の選任申立をしてくれるかもしれませんが、そうでない場合もありますので、非常に難しい問題ですね。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ