成年後見のはなし~制度の利用にご本人の同意は必要?~

掲載日:2017.11.10


後見制度を利用しようとする場合、制度の利用について、ご本人の同意・承諾は必要ないのか?という質問を頂戴することがございます。

結論から言うと、後見開始の申立をする場合には、ご本人の同意・承諾は不要です。

ご本人以外の4親等内のご親族であっても申立をすることができるので、同意・承諾が必要ないとすると、ご本人の意思とは関係ないところで後見開始の申立をすることができるということになります。

「ご本人の意向を無視して勝手に進めてしまうのはひどいのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、後見開始の申立をしようとする場合、ご本人は判断能力が低下している状態なので、ご本人の同意・承諾を条件としてしまうと、いつまで経っても制度の利用を開始することができず、ご本人の支援をすることもできません。
ご本人がしっかりとした判断ができない、もしくは意思を示せないからこそ、後見人という援助者を選任するわけですから、むしろ、これはご本人を守るためにそのような取扱いになっていると言えるのではないでしょうか。

なお、上記はあくまで「後見」の場合であって、「保佐」の場合は、代理権を付与するときはご本人の同意が必要であり、「補助」の場合は申立には常にご本人の同意が必要ですので、注意しましょう。
保佐・補助の場合、後見状態よりもご本人の意識がしっかりしているので、そこにはご本人の同意を必要としているのです。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ