相続のはなし~失踪宣告?~

掲載日:2017.07.26

「失踪宣告(しっそうせんこく)」とは、ある人の行方が知れない時に、一定の条件を満たすと、行方不明の方を死亡したものとみなす、という法律上の効果です。

民法第30条第1項:不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
同第31条:前条第1項の規定により失踪の宣告を受けた者は、同項の期間が満了した時に、(中略)死亡したものとみなす。
※不在者=従来の住所または居所を去った人

失踪宣告がされると、行方不明者は死亡したものとみなされるので、その方について相続が発生します。

行方不明者についてそのままの状態が続くと、実質的に権利者が存在しないような財産が生じてしまうため、相続を発生させることによって、早期に権利者を特定し、取引の安全を守ることにもつながります。

なお、失踪宣告の手続では、日本中を調べまわって、その方が死亡したということを確認するわけではないので、後日、実はその方が生存していた、ということもあり得ます。

このような場合、相続の効果は消滅し、相続発生前の状態に戻す必要がありますが、一部財産が戻って来ないケース(善意の第三者の保護規定)がありますので、手続を行う際は慎重に検討しましょう。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ