遺言のはなし~拇印でも有効?~

掲載日:2017.06.28

遺言を公正証書で作成する場合は「実印」での押印が必要です。そのため、拇印で押印することはありません。

ただ、自筆で遺言を作成する場合、誰かに「この印鑑を使ってください」と指示を受けることがないので、実印以外で押印することもあるかと思います。
実は、自筆の場合、法律上印鑑の指定はありませんので、必ずしも実印でなくてもよく、認印で押印した遺言も有効です。
ここで、問題になるのが、「拇印」ではどうかという点です。
拇印には当然名前が表示されません。しかし、その個人のみが押印できるという点ではかなり信用度の高いものとも言えます。

結論から言うと「拇印で押印した遺言も有効」です。

これについては判例も出ていますので、興味がありましたらご確認ください。
※最判:平成元年2月16日

このように、自筆で遺言を作成する場合は、拇印も含め、どのような印鑑でも押印していればよいとされています。
ですが、実印を使用することで、ご本人さんが押印したということの確認がしやすくなりますので、なるべく実印を用いることが好ましいのではないかと思います。
自筆で作成する場合、自由に作成できる反面、このように判断に悩むこともございますので、作成に当たっては十分な確認をする必要があるでしょう。

では、また次回お楽しみに!

司法書士 たつみ