大人のための法律教室④~裁判のしくみ~

掲載日:2015.08.28

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「訴えなければ裁判なし」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

これは民事訴訟における原則で、刑事事件と民事事件のしくみの違いを表しています。

刑事事件は、原則として、犯罪が起これば被害者の訴えがなくても警察・検察が犯人を捜して裁判を行います。
しかし、民事事件は当事者(被害者)が自ら裁判所に訴えなければ裁判が始まらないのです。

刑事事件は犯罪なのだから警察・検察に任せておけばいいでしょ?と思うかもしれませんが、実はそれでは済まないことがあるのです。

例えば、飲酒運転で交通事故を起こし、被害者がひどいケガを負ったとします。
上述したとおり、刑事事件では、被害者が何もしなくても加害者は裁かれるでしょう。
これで解決、でいいのでしょうか?
実は、こういった場合、同時に民事でも裁判が行われているケースがあります。
理由は、「刑事事件として裁かれても被害者にお金は支払われない」からです。

そう、治療費などの請求を求める場合、自ら加害者を相手に裁判を起こさなければならないのです。
刑事訴訟は「加害者を罰するため」のものであり、民事訴訟は「個人の利益を守る(回復させる)ため」のもの、とそれぞれ目的が異なるので、裁判のしくみにも違いがあるのですね。

しかし、民事事件の場合、自ら訴訟を起こさなければならないので、いわゆる費用倒れの問題などがあり、泣き寝入りということも少なくないかと思います。
このあたりは今後の日本の訴訟制度の課題ではないでしょうか。

ではまた次回もお楽しみに!